
「プロテインを飲むとおなかがゴロゴロする」——その原因としてよく話題になるのが乳糖(ラクトース)です。東アジアの成人では、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の働きが大人になるにつれて低下する人が多いことが報告されており、日本でも「牛乳でゴロゴロ」は決して珍しい話ではありません。
本記事では、データで見る日本人と乳糖の実際、製法ごとの乳糖の違い、そして自分に合うプロテインの選び方を解説します。
結論:乳糖が気になる方でも、プロテインは選べます。鍵は「製法」。ホエイなら乳糖を大幅に除去した低乳糖WPI、乳成分自体を避けるなら乳糖ゼロのエッグプロテインという選択肢があります。
乳糖不耐とは?——乳糖吸収不良・牛乳アレルギーとの違い
似た言葉が3つあり、区別が重要です。
乳糖吸収不良(ラクターゼ活性の低下)は、乳糖を分解する酵素ラクターゼの働きが小腸で低下している状態を指します。ヒトでは離乳後にラクターゼの発現が徐々に下がるのが本来の標準で、大人になっても高い活性が続く「ラクターゼ活性持続」のほうが、世界的に見れば一部の集団に広がった特徴だと報告されています【1】。
乳糖不耐(乳糖不耐症)は、分解されなかった乳糖が大腸で発酵し、おなかの張り・ゴロゴロ・下痢などの症状として現れる状態です。ポイントは、酵素活性が低い=必ず症状が出る、ではないこと。症状が出るかどうかは、摂った乳糖の量やその日の状況、腸内細菌の状態などによって大きく変わります【2】。
牛乳アレルギーは上の2つとはまったく別で、乳たんぱく質に対する免疫反応です。乳糖ゼロの製品でも乳たんぱくを含む場合は対象になります。アレルギーと診断されている方、または疑いのある方は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
日本人と乳糖——データで見る実際
数字は2つの層に分けて見るのが正確です。
①酵素の層(体質):米国NIH(MedlinePlus Genetics)は、ラクターゼ活性の低下(lactase nonpersistence)が東アジア系の集団では成人の70〜100%に見られ、世界全体では約65%と報告しています【1】。日本人を含む東アジアでは「大人になると乳糖の分解力が下がる」体質が多数派、ということです。
②症状の層(実際に困っているか):一方で、Jミルクの食生活動向調査(2013年、15歳以上10,000人)では、牛乳でおなかがゴロゴロするのは「いつもそうなる」が7%、「いつでもではないがなる」が13%、「たまになる」が29%でした【2】。つまり「何らかの経験がある」人は約半数いる一方、常に症状が出る人は少数派です。
この2つの層のあいだを埋めるのが量です。Jミルクの資料が紹介するヒト試験では、乳糖30g(牛乳約700mL相当)では下痢は見られず、60g(約1,200mL相当)で半数以上に下痢が発生しました【2】【3】。牛乳や乳製品が「悪い」という話ではなく、分解できる量に個人差がある——これがこのテーマの実際です。ちなみにヨーグルトは発酵の過程で乳糖の20〜40%が分解され、チーズは製造時に乳糖の大部分がホエイ側に移行するため、同じ乳製品でも乳糖量は大きく異なります【2】。
プロテインの乳糖量は「製法」で決まる
プロテインも同じで、乳糖がどれだけ残るかは原料と製法でほぼ決まります。
ホエイプロテインの場合、標準的なWPC(コンセントレート)はたんぱく質含有率約80%で、乳糖が一定量残ります。そこからさらにろ過を重ねて精製したWPI(アイソレート)は、たんぱく質含有率約90%まで高まり、乳糖の大部分が除去されます。カゼインも牛乳由来のため乳糖を含みます。そして卵白由来のエッグプロテインは、そもそも乳成分を使わないため乳糖はゼロです。
| 製品 | 乳糖 | 理由(原料・製法) |
|---|---|---|
| エッグプロテイン | ゼロ | 卵白100%由来・乳成分不使用 |
| リーンゲイナー エッグ&クリームオブライス | ゼロ設計 | エッグプロテイン+玄米クリーム(乳成分を含まない設計) |
| ネイティブホエイアイソレート(nWPI) | 少なめ | アイソレート製法で乳糖を大幅に除去(低乳糖) |
| nWPI & nWPC ブレンド | 含む(WPC単体よりやや少なめ) | nWPC 70% × nWPI 30% |
| ネイティブホエイ(nWPC) | 含む | たんぱく質約80%の標準的なホエイ |
| ミセラーカゼイン | 含む | 牛乳由来(乳糖を控えたい方はご注意ください) |
| マッスルマス | 含む(ラクターゼ配合) | ホエイ+カゼインのゲイナー。乳糖分解酵素として知られるラクターゼを配合 |
各製品の乳糖・炭水化物の詳細は、製品ページの栄養成分表示と原材料をご確認ください。Nutrimuscleは全製品の原材料と製法を公開しています。
選択肢① 低乳糖のネイティブホエイアイソレート(nWPI)
「ホエイの飲みやすさと速さはそのままに、乳糖を抑えたい」という方の第一候補がネイティブホエイアイソレート(低乳糖)です。フランス産の生乳を直接膜ろ過するネイティブ製法(Lactalis社)で、チーズ製造の副産物からではなく牛乳から直接作られるアイソレート。たんぱく質含有率は約90%、脂質と乳糖を大幅に除去した処方で、乳糖の摂取を控えたい方に向けて設計されています。
吸収は速く(約2時間)、トレーニング直後の補給に向いたタイプです。詳しくは「ネイティブホエイアイソレート(nWPI)とは?」でも解説しています。
選択肢② 乳糖ゼロのエッグプロテイン
「低乳糖でもまだ気になる」「乳製品由来のたんぱく質自体を避けたい」という方には、エッグプロテインという選択肢があります。卵白だけでできたプロテインで、乳糖ゼロ・乳成分ゼロ。たんぱく質含有率82%、アミノ酸スコア100(PDCAAS 1.00)の完全たんぱく質です。
原料はフランス産の放し飼い卵白(IGRECA社)を使用し、低温殺菌・脱塩処理を施したうえで、日本国内で製造しています。甘味料は酵素処理ステビアで、人工甘味料は使用していません。約4時間かけてゆっくり吸収されるため、食間や就寝前のたんぱく質補給にも向いた設計です。詳しくは「エッグプロテインとは?」をご覧ください。
ご注意:エッグプロテインは卵白を主原料とするため、卵アレルギーの方は摂取をお控えください。乳糖の問題とアレルギーは別の問題です。
選択肢③ ゲイナー派の選び方
増量目的でゲイナーを使う場合も、同じ考え方で選べます。
リーンゲイナー エッグ&クリームオブライスは、エッグプロテインと玄米クリームを60:40で組み合わせた乳成分を含まない設計のゲイナー。グルテンフリーで人工甘味料不使用、乳糖を避けながら増量期のカロリーを組み立てたい方の選択肢です。
マッスルマスはホエイ+カゼインの伝統的な高カロリーゲイナーで乳糖を含みますが、乳糖を分解する酵素として知られるラクターゼと乳酸菌GanedenBC30®を配合した、乳糖を控えたい方にも使いやすい設計です。
飲み方の工夫——量・分け方・溶かし方
上のデータで見たとおり、症状が出るかどうかは量に大きく左右されます。乳糖を含むプロテインを使う場合の一般的な工夫は次の3つです。
①少量から始める:初めての製品は15〜20g程度から始めて、体の反応を確認しながら通常量(25〜37g)へ。②1回量を分ける:1日の量を2〜3回に分ければ、1回あたりの乳糖量は下がります。③水で溶かす:牛乳で割るとその分の乳糖(100mLあたり約4.3g【2】)が上乗せされます。乳糖が気になる方は水割りがシンプルです。
それでも合わないと感じる場合は、無理をせず低乳糖(nWPI)や乳糖ゼロ(エッグ)へ切り替えるのが早道です。症状が強い場合や続く場合は、医療機関にご相談ください。プロテインと消化の全般的な話は「プロテインで消化不良?原因と対処法」にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. ヨーグルトやチーズは大丈夫なのに、プロテインだとゴロゴロするのはなぜですか?
ヨーグルトは発酵で乳糖の20〜40%が分解され、チーズは製造過程で乳糖の大部分が取り除かれています【2】。一方、乳糖が残る製法のプロテインを牛乳で割ると、1回に摂る乳糖量が思った以上に多くなることがあります。量を確認し、水割りや低乳糖タイプを試すのが一般的です。
Q. 自分が乳糖不耐かどうか確かめる方法はありますか?
医療機関では呼気検査などで乳糖の分解状態を調べられます。症状が強い場合や判断に迷う場合は、自己判断せず受診をおすすめします。日常レベルでは、乳糖量の少ない製品に切り替えて体の反応を観察するという方法が取られることもあります。
Q. 牛乳アレルギーですが、乳糖ゼロのホエイなら飲めますか?
いいえ。アレルギーは乳糖ではなく乳たんぱく質への免疫反応のため、低乳糖・乳糖ゼロでも乳由来のプロテインは対象になります。乳アレルギーの方の選択肢は乳成分不使用のたんぱく源(エッグプロテインなど)ですが、必ず医師にご相談のうえでご判断ください。なおエッグプロテインは卵アレルギーの方には適していません。
Q. いま使っているWPCやカゼインはやめるべきですか?
症状がなければ変える必要はありません。上で見たとおり、酵素活性が低くても症状が出るかどうかは量次第です。気になる場合は、量を分ける・水で割るなどの工夫から試し、それでも合わなければ低乳糖・乳糖ゼロへ、という順番が現実的です。
Q. 乳糖が気になる場合、ソイプロテインしかないと思っていました。
植物性以外にも選択肢はあります。動物性の完全たんぱく質で乳糖ゼロという条件なら卵白由来のエッグプロテイン、ホエイの中で選ぶなら乳糖を大幅に除去したWPI(アイソレート)です。目的や好みに合わせて選べます。
まとめ
東アジアの成人では乳糖の分解力が下がる体質が多数派——でも、それはプロテインをあきらめる理由にはなりません。製法を見れば乳糖は選べるからです。ホエイ派なら低乳糖のnWPI、乳成分自体を避けるならエッグプロテイン、ゲイナー派にも乳成分を含まない設計やラクターゼ配合という選択肢があります。そして乳糖を含む製品も、量と飲み方の工夫で付き合い方が変わります。
Nutrimuscleは、全製品の原材料・製法・生産者を公開しています。まずはご自身の「気になり方」に合わせて、表の右側から選んでみてください。
乳糖が気になる方の2つの定番
卵白100%で乳糖ゼロのエッグプロテインと、直接膜ろ過のネイティブ製法で乳糖を大幅に除去した低乳糖WPI。どちらも原材料と製法を全公開しています。
エッグプロテイン(乳糖ゼロ)を見る →低乳糖のnWPIはこちら参考文献
- MedlinePlus Genetics (U.S. National Institutes of Health). Lactose intolerance. https://medlineplus.gov/genetics/condition/lactose-intolerance/
- 一般社団法人Jミルク. ファクトブック「よくわかる!乳糖不耐」(2020年)および「日本人のほとんどは、牛乳を飲むとおなかをこわす?」(食生活動向調査2013の引用を含む). https://www.j-milk.jp/report/study/h4ogb40000003zae.html
- 奥恒行(2001):乳糖負荷量と症状に関するヒト試験(Jミルク資料で引用).
※本記事は栄養補助に関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。

